鍼灸と免疫【がん】

※ 鍼灸治療は、ガンそのものを治す治療ではありません。 鍼灸治療は身体の治癒力を高め、病気に対する抵抗力、即ち免疫力を向上します。 免疫の主役を務めるのは白血球の役割です。 白血球は癌細胞やウイルスに対応するT細胞、B細胞、NK細胞などのリンパ球と、 細菌やゴミなどを食べるマクロファージ、好中球、好酸球、好塩基球などの顆粒球があります。 さまざまな種類の白血球が役割分担を行いながら免疫機構を維持します。 鍼灸の効果の一つにこれら白血球の増加、遊走速度の向上などがあります。 免疫の主役である白血球が増え、活性が上がれば、自分の持っている治癒力で病気を治療し、 また病気にもかかりにくくなるというわけです。 【厚生労働省がん研究助成金(課題番号:17-14)「がんの代替療法の科学的検証と臨床応用に関する研 究」班】の『がんの補完代替医療ガイドブック第2版』から、鍼灸に関する項目を抜粋します。 日本における鍼灸治療の歴史は古く、最近の調査でも日本人の2~3割の人が一生のうち一度は鍼灸治療を受けたことがあるとされています。 また、世界的にも110カ国以上の国々で鍼灸治療は実践されていて、それぞれの国で資格制度も整備されつつあります。 鍼灸治療の目的は、がん患者さんにおける痛みや息切れなどの身体症状の軽減、心理的・精神的苦痛の軽減、生活の質(QOL)全般の改善、化学療法の副作用である吐気や嘔吐の軽減、手術後の腸閉塞の予防、乳がん治療の副作用である顔面紅潮・のぼせの治療などとなっています。 臨床試験は世界各国で多数行われており、その結果によっては、鍼灸治療ががんの医療現場に通常医療として取り入れられる日が来るかもしれません。 また基本的な考え方として、鍼灸治療は特定の病気や疾患に対して治療を行うのではなく、痛み、こり、むくみ、冷え、しびれなどさまざまな身体的症状を緩和したり除去したりすることを目的としています。 ですからがんに関しては、がんを縮小させたり消失させたりすることは決してありません。 あくまでも、現代西洋医療を補完する治療というスタンスで行うべきです。

ガンの鍼灸治療の注意点

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鍼灸治療、特に鍼治療において気を付けておかなければならない点を取り上げます。 鍼を刺す鍼治療では、まれに出血あるいは内出血することがありますが、健康な人であれば問題となることはほとんどありません。 しかし、抗がん剤治療をして出血を止める細胞の血小板が少なくなっている場合や、がんが進行して出血しやすい状態の場合には、鍼治療を行う際に注意が必要です。 当然、専門資格を持った施術者に鍼治療をしてもらうことが重要です。